プロでも迷う、FXで影響力が強いのはどっち?経済指標 vs 要人発言

  • 2019年1月5日
  • 2019年1月5日
  • FX
  • 873View
  • 0件
FX

ドル、円、ユーロ、ポンド
などの通貨のレートは様々な理由によって変動します。

一昔であれば、
日本がアメリカから物を輸入する時の代金として
円をドルに変換したり、
日本がイギリスに物を輸出して得た代金を
ポンドから円に変換したり、
実需に伴う取引が為替のレートに大きく影響していましたが

今や、通貨を投資対象とするFXが
日本をはじめとして世界的に一般人にも普及した為、
為替レートは投機的思惑によって大きく動きます。

プロも含めた世界中の投資家が、
為替が動くきっかけを常に狙っています。

プロも注目する為替変動のきっかけとは?

そんな投資家達がきっかけとして注目するのが
以下2点です。

  1. 経済指標
  2. 要人発言

経済指標は各国から定期的に発表される指標で
代表的なもので言うと、
失業率や、雇用者数などの雇用統計が
為替レートに大きな影響を与えます。

重要な経済指標は、発表前に予想値が報道されることが多く
予想値と発表された結果にギャップがあると
サプライズとしてギャップがある方向に動く傾向があります。

発表値が予想値と同じくらいの場合は
たとえ、その数値が経済的に良い数値であったとしても
すでにレートに良い数値は折込済みということで、
発表後に通貨の価値が逆に下がることもあります。

重要な経済指標発表時は、
このような投資家のいろいろな思惑が入り乱れるので
一時的に乱高下を繰り返します。

その際は、一時的にレートのスプレッドが開くので、
損切りの設定には注意が必要です。
(あまり近い位置に損切りを設定していると
スプレッドの拡大によって引っかかってしまいます)

もう1つの要人発言について
ここで言う要人とは、各国の経済政策に対して
影響力を持つ人を意味します。

例えば日本なら、
総理大臣、日本銀行総裁が要人となり、
アメリカなら、
大統領、FRB議長が要人となり、
ヨーロッパなら、
ドイツやフランスなどの経済強国の首相、
ECB総裁が要人となります。

特に日本銀行総裁、FRB議長、ECB総裁は、
金融政策に深く関与する為、
その発言には多くのFX投資家が過敏に反応します。

日本銀行総裁、FRB議長、ECB総裁が
何らかの会合に出席するタイミングでは、
どのような発言をするか多くの投資家が注目しています。

経済指標と要人発言のどちらの方が影響力が強いか?

では、投資家が注目する
経済指標と要人発言では、
どちらの方がより為替への影響力が強いのでしょうか?

どちらが強いか検証すべく、
同じ日に重要な経済指標と要人発言が発表され、
為替にとってそれぞれが逆の動きを助長した場合の
例を示したいと思います。

2019年1月4日は、
アメリカの重要な経済指標発表と
FRB議長による会合での発言がほぼ重なりました。

ユーロドルのチャートでその時の値動きを
見てみましょう。

午後10時(チャートの赤丸箇所)に
アメリカの雇用統計が発表されると、
非農業部門雇用者数が予想の18.4万人増加に対して
発表では31.2万人増加と大幅に良かった為、
アメリカ経済の見通しの良さから
ドルの買い戻しの流れが発生し
ユーロドルは大幅に値を下げました。

ただ、その後、午後12時頃(チャートの青丸箇所)に
米国経済学会に出席していたパウエルFRB議長が
既定路線と思われていた金利の利上げに対して
消極的なコメントをしたことの報道により
ドル売りの流れが発生し、
雇用統計での下落を一気に取り戻しました。

ポンドドルのレートに対しても
顕著な流れが出てるのでチャートを確認してみましょう。

ユーロドルと同様に、
雇用統計発表と、FRB議長発言のタイミングで
レートが大きく上下動しているのが分かります。

FRB議長発言による勢いはユーロドル以上に強く
下げ幅を回復後も一気に突き抜けてます。

経済指標の中でも重要な指標である雇用統計が
作った流れをFRB議長発言で一気にかき消している
この状況を見るかぎりは、影響力の関係性は

経済指標 < 要人発言

となるような感じがしますが、
これには1つ条件が入ると思います。

この時、パウエルFRB議長が発言した内容に
今後の政策金利を占う内容が含まれていたことが
大きなポイントと言えます。

もし、パウエルFRB議長の発言が
政策金利に対して言及するものでなかったら
ここまでの大きな流れの逆転は無かったと思います。

つまり以下のような影響力の関係性となります。

経済指標 < 要人発言(政策金利)

要人発言自体に影響力があるのではなく、
政策金利に関する情報の影響力が
経済指標による影響力を上回っているというのが
正確なところです。

いずれにせよ、
経済指標の発表日と、
学会や委員会などの会合に
要人が出席する日は、
情報として抑えておいた方が
相場の急変にも対処しやすいでしょう。

最新情報をチェックしよう!